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平成16年4月。春の訪れとともに、男たちの熱い思いを詰め込んだ「竹製温泉冷却装置」は、いよいよ本格的に動き始めていた。14日には実用新案登録を済ませ、17日にはプレス発表、そして公開実験と、より多くの人の目に触れる機会が増え、マスコミでもたびたび取り上げられるようになっていた。
しかし困ったことに、肝心の装置の名前がまだ決まっていなかった。各マスコミで紹介される際も「竹製温泉冷却装置」という、なんとも堅くて、長ったらしい名前が使われていたのである。親しみやすく、それでいて一言でこの装置の全てを言い表すような、そんな名前はないだろうか? 装置の完成に喜んだのもつかの間。ふたたび河野社長、斉藤主任研究員、河野専務の3人は頭を抱えることになってしまった。
「…『冷やしっこ』、はどうやろ?」
「あかんあかん。冷奴みたいや。大体「シッコ」が入ってる名前なんか論外や。ここは温泉やで」
「うーん…。それなら、『水いらず』はどうですか?」
「猫イラズちゃうで!湯にネズミが浮かんでる感じやないか」
「そら言い過ぎやろ。『水いらず』は結構ええと思うな。親子水入らず、なんて良い意味やし」
「それもいいけど、もっと趣を感じる言葉はないかな。『湯もみヤグラ』なんて案もありますよ。」
「それええな。湯をかき混ぜて冷ますことを『湯もみ』と言うもんな。草津よいとこ〜いちどはおいで♪って湯を揉むんやろ。けど『湯もみ』なんて、草津に行ったことない人は意味わかるやろか?」
あーでもない、こーでもないと議論は百出した。『冷えポタ』『竹冷まし』『バンブーマジック』など、“冷ます”や“温泉”、“竹”といったキーワードを元に、いくつもいくつも案があがってきた。『冷家竹造(ひやしやたけぞう)』などの珍案さえ出た。
しかし、コレだ! という言葉はちっとも出てこない。モヤモヤとした気持ちのまま、時間だけが過ぎていった。
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