竹製温泉冷却装置「湯雨竹」

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竹製温泉冷却装置「湯雨竹」

「湯雨竹」施工日記

温泉テレビチャンピオンの郡司さんも認めた「湯雨竹」

ここで気になるのが、竹製温泉冷却装置の冷却能力である。竹製温泉冷却装置は、外気温に左右される。開発メンバーは、数カ月をかけて冷却実験を行った。
その結果、外気温1℃〜52℃(ハウス内)において、96℃〜98℃の熱湯を17℃〜48.1℃まで冷却することができた。この実験の一部は平成17年4月に新聞やテレビなどの地元のマスコミにも公開され、別府市内の温泉宿泊施設からも見学者が訪れた

竹製温泉冷却装置の冷却能力は20回を超える冷却実験で証明されたとはいうものの、あることが懸念される。それは温度が下がり過ぎるのではないかという点だ。17℃まで下がると、逆にぬるすぎて入れないのではないだろうか。実は、ひょうたん温泉には100℃の源泉が2つある。片方の冷やした源泉ともう片方の源泉のお湯をバルブで調節しながら給湯するため、いくら温度が下がっても、いつでも適温で入浴することができるのだ。しかも、どちらも源泉100%であるため、泉質は変わらない。入湯客、特に温泉マニアにとっては究極の温泉を満喫することができるわけだ。

試作機での実験に成功したメンバーは、実際にひょうたん温泉で使用する実機の製作に取りかかった。

平成17年7月、ひょうたん温泉の源泉の近くに竹製温泉冷却装置(縦3m×横6m×高さ3.5m)が完成した。

この装置で毎分約330リットルもの流量がある、ひょうたん温泉の源泉を冷やすことができるのだ。しかもこの装置には、枝条架にはない独自の工夫が施されていた。
枝条架と竹製温泉冷却装置の大きな違いは、竹の枝を取り付けた物干し竿の部分が取り外せるという点だ。
枝条架では竹の枝がすべて装置に編み込まれているが、竹製温泉冷却装置の場合、これではメンテナンスがしにくい。塩づくりが目的の枝条架は、海水をかけるだけなので竹枝を固定していてもいいが、竹製温泉冷却装置の場合は源泉の温度が100℃もあるため将来的な損傷も考えられる。そこで、取り外しができる物干し型の竹枝ユニットにして、メンテナンスを容易にしたのだ。
物干し型の竹枝ユニットにした理由はもう一つある。それは温度のコントロールが簡単にできるという点だ。源泉の温度は1年中を通じて100℃と変わることはないが、冬と夏では外気温が異なるので源泉の温度の冷え方が違ってくる。そこで、外気温が低い冬場は竹枝ユニットを2段に、外気温が高い夏場は竹枝ユニットを3段にすることで温度コントロールを簡単に行うことができるようにした。

「私たちの夢がついに完成しました。斉藤さんたち、開発に携わってくださった皆さん、本当にありがとうございました」

河野社長と河野専務は、竹製温泉冷却装置を見上げながら、これまでの年月を静かに振り返った。

「社長、この竹製温泉冷却装置ですけど、今後、商品化するなら名前がいるんじゃないでしょうか」 
湯雨竹ネーミングストーリーはこちら >

こうして竹製温泉冷却装置「湯雨竹」が、ひょうたん温泉で稼動を始めた。 熱すぎる源泉のお湯の温泉成分をそのままに温度を下げる。文字にすればこれだけのことで、ひょうたん温泉は大きく変わった。

まず、閉店時間をこれまでの9時から深夜1時に延長したことで、観光客はもちろん、地域の人々にも気軽にひょうたん温泉を利用してもらえるようになった。これに伴って売り上げも向上。月によって違いはあるが、約3割の売上増となった。
次に、これまではチョロチョロとしか注げなかったお湯を大浴場にいつでもたっぷりと注げるようになった。
さらに、家族湯にいたっては入浴1回ごとにお湯を抜き、新しいお湯を入れるという入湯客にとってはこのうえない贅沢なサービスを提供できるようになった。しかも、わずか数分という短時間でだ。

「営業時間の延長で、売り上げが伸びたことは経営者として嬉しいことなんですが、これにも増して嬉しいことがあります。それはだれに対しても胸を張れるようになったことです。これまでは加水なしの源泉かけ流しと言いながら、夏だけはこっそり水を加えていたことで、常に後ろめたい気持ちがあったんです。これが湯雨竹の開発で一気に解消しました」

河野社長は、心の底から嬉しそうに語った。
河野社長の喜びの背景には、湯雨竹完成の2カ月前、平成17年5月に施行された温泉法の改正がある。法律が改正されるに至った理由は、温泉に繁殖したレジオネラ菌が原因で死者が出たことや、ある温泉施設で温泉に市販の入浴剤を入れていたことが発覚し、マスコミで大きく取り上げられたことも法律の改正の動きに影響を与えた。
その中核を担ったのが、温泉マニアである。改正された温泉法では、「循環しているか」「加水しているか」「加熱しているか」「薬品を入れているか」「消毒をしているか」という点を明確にし、その理由まで表記しなくてはならなくなったのだ。これは温泉マニアたちがかねてから温泉の批評材料にしていたことばかりで、法改正には彼らの主張が大いに盛込まれることになった。
事実上、これまで何でもありだった温泉業界には困った事態となったが、創業以来良心的な温泉経営を行い、湯雨竹まで開発したひょうたん温泉にとって、温泉法の改正は結果的に追い風となった。

「いわゆるレジャー温泉など、24時間営業を行っている温泉施設の多くは源泉かけ流しではなく、循環方式を採用しています。なぜ循環方式なのかというと、それほど多くの温泉のお湯を供給できないからです。その点、ひょうたん温泉は100%源泉かけ流しで深夜まで営業しています。大型施設では全国でも珍しい存在じゃないでしょうか」

これまで数多くの温泉めぐりをしてきた斉藤は、ひょうたん温泉の質の高さに太鼓判を押す。

「まず、湯が軟らかく、そして濃く、力強くなりました。短時間で冷却しているからでしょうね。やはり浴槽に長時間、湯が滞留していると、たとえ人が入らなくても鮮度が落ちてきて湯の勢いというか、湯の力が落ちるのがわかるんです。それが今はない。鉄輪らしい、パワーのある温泉が、その個性を保ったまま浴槽に満たされています」

湯雨竹誕生以後のひょうたん温泉については、他の温泉マニアからも高い評価の声が届くようになった。『温泉テレビチャンピオン』でお馴染みの郡司勇さんからも

「ひょうたん温泉には4回ほど訪問してしていますが、この冷却装置を付けてから明らかに泉質が良くなったと思います。今では塩味の中に明礬渋味を感じる全国的にみても珍しい鉄輪温泉の特徴が出た最高の湯になりました。ひょうたん温泉の名物、豪快な打たせ湯も源泉100%になったとすれば、筋湯のうたせ大浴場を越え、日本一の打たせ湯ではないでしょうか。以前は露天風呂などは、源泉に近づくと湯温度が上がり高温のためによく観察が出来ませんでしたがこれも解決しました。ただし湯雨竹は匂いが少なくなってしまうので温度調節に源泉そのままも加えるとさらに良くなると思います。」

というコメントが届いた。

その後、河野社長と河野専務は、実機とは別にひょうたん温泉の入口近くに湯雨竹をスケールダウンした竹製温泉冷却装置を設置し、これを足湯として一般の観光客に無料で開放した。
これは観光客へのサービスということもあるが、(株)ユーネットのオリジナル商品として、別府をはじめとする高温な源泉を持つ温泉地の施設関係者に向けたセールスプロモーションの一環でもあった。